神戸市垂水区の動物病院ジェームス山ペットクリニック

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雌イヌの避妊手術について

2008/05/15

1.どうして避妊手術が必要なの?
もちろん「望まない子供をつくらない」という理由もありますが、予防的な面からの一番の理由は、高齢(7歳以上)のわんちゃんの多くがかかる「『生殖器の病気』が避妊手術を行うことで防げるから」です。

2.生殖器の病気ってどんなの?
病院でもっとも多く遭遇するのは「子宮蓄膿症」と「乳腺腫瘍」、この2つです。
今回は、この2つの病気について具体的にご説明します。

☆ 子宮蓄膿症 ☆
子宮蓄膿症は、発情出血後の2ヶ月間に罹ることが多い病気で、子宮の中でばい菌が増えて膿が溜まるために起こります。子宮蓄膿症には、「開放性(膿が外陰部から出てくる)」と「閉鎖性(膿が外にでない)」があり、閉鎖性の場合には 外見上は分かりにくいため、元気や食欲がなくなってから病院に来て診断されるケースが多くあります。しかし、子宮蓄膿症は治療せずに放っておくと敗血症や腎不全を起こしたり、子宮が破裂したりして命を落とす怖い病気です。
治療法は膿の溜まった子宮を取り出す手術になりますが、発見が遅れると麻酔の危険性も高く、入院が長くなることもありますし、健康に戻るまでに時間がかかります。
予防法は避妊手術です。卵巣と子宮を切除したわんちゃんは子宮蓄膿症にはなりません!


子宮蓄膿症のために膿が溜まった子宮

以下の項目に当てはまるものがある場合は要注意!! 早めに診察を受けましょう。
□ 発情出血後~2、3ヶ月で調子が悪い(元気、食欲がない、吐く、下痢をするなど)
□ 水を大量に欲しがる
□ 外陰部から膿や濁った血液が出ている
□ 外陰部が臭く、しきりに舐めている
□ 発情の間隔が不順、または発情が来ない(イヌには閉経がありません)

☆ 乳腺腫瘍 ☆
雌性ホルモンの影響を受けることによって、乳腺にできる腫瘍です。避妊手術を受けているワンちゃんに比べて、避妊していないワンちゃんで多く起こります。
この腫瘍はワンちゃんの場合は良性と悪性が半分ずつ見られ、悪性(乳癌)では腫瘍が大きくなって表面が破け 出血が止まらなくなったり、肺に腫瘍が転移したりすることもあります。また、乳腺腫瘍は、隣同士の乳腺で血流が繋がっているため、1つ発見したまま放っておくと2つ、3つとできてくることもありますし、発情のたびにホルモンの影響で大きく腫瘍が成長します。


放っておくとテニスボール以上にまで大きくなることも!

それでは、乳腺腫瘍がないか、ワンちゃんのおっぱいを触ってみましょう。
■ イヌの乳頭は基本的に5対あり、それより多い子、少ない子もいます(正常です)
■ 見つけやすい内股の近くの乳頭から、乳頭の付け根と乳頭の間をマッサージするように胸に向かって触っていきましょう
■ 乳腺の腫瘍があると皮膚の下にコリコリと触れます(小さいものは1mmぐらい~)
■ さらに大きくなると皮膚にできもののようになっていることもあります
■ 一番上の乳頭は胸の一番深い辺りにあるので、そこまでたどっていきましょう

雌性ホルモンが乳腺腫瘍に関係しているため、この腫瘍と避妊手術の関係について以下のようなデータもあります。
1回目の発情前に避妊手術した場合  発症率 0.05%以下(ほぼ腫瘍にならない!)
1~2回目発情の間に手術した場合  発症率 8%
2回目発情以降に手術した場合    発症率 26% (4匹に1匹!!)

3.いつ 避妊手術をすればいいの?
時期:発情出血後2ヶ月間を避ける(出血やホルモンバランスの問題のため)
年令:乳腺腫瘍の予防という観点からは、初めての発情出血の前に行うのが理想的です。(1回目の発情出血は早い子(特に小型犬)で生後6~8ヶ月、遅い子で13ヶ月頃)
ただし、出血量が少ないと見逃してしまうため、目安として『1歳までに避妊手術』と考えてください。
また、中高齢のわんちゃんの場合でも、ホルモンの分泌を抑えることで、乳腺腫瘍が育つのを防ぐ効果は得られますので、なるべく早く避妊手術を行う方が安心です。
季節:問いません(ご心配があればご相談下さい)
入院期間:原則一泊

4.避妊手術のデメリットは?
雄のわんちゃんと同様ですので、前回の「去勢手術について」をご参考下さい。
麻酔や手術方法など、ご質問があれば来院された際にご質問下さい。


* 今回のまとめ *
雌のわんちゃんでは、発情の周期にあわせて(発情出血の前後~発情出血後2ヶ月)、ムラ食いが増えたり、胃炎や膀胱炎を起こしたり、なんとなく元気がなくなったりというトラブルが起きる子もいます。
男の子同様、『人の社会』で生きていく彼女たちにとっては発情周期のストレスもまた、気付かないうちに飼い主さまの心配の種になっていることが多くあります。
「健康な子に手術するなんて・・・」という思いもあると思いますが、健康なうちであればこそ手術後の痛みも軽く 傷の治りも早くて済むのです。2、3日の痛みを一緒に過ごしてあげて、長~く健康に暮らしましょう!!
余談ですが病院スタッフのパートナー犬(猫)たちは、みんな避妊・去勢手術を行っています。
不安な気持ちの相談も、スタッフに向けてお伝え下さい。

獣医師:谷本あや