神戸市垂水区の動物病院ジェームス山ペットクリニック

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犬の心臓病

2009/03/09

ドクターズメモ 犬の心臓病

昔に比べてワンちゃんの寿命は飛躍的に伸び、
近年では高齢のワンちゃんの病気として
腫瘍(癌)や、心臓病・腎臓病を患う子を多くみるようになりました。

その中でも12歳以上のワンちゃんがかかる病気NO.1が心臓病。
統計によると12歳以上では3匹に1匹!の犬が弁膜症(病気の説明参照)に
かかっているというデータもあり、見逃せません!

そんなわけで、今回のドクターズメモは、
ワンちゃんの心臓病を特集してみようと思います。


さて、今日はシーズーの【小林パトラちゃん・9歳】が病院へやってきました。

「最近なんだか疲れやすいのよねぇ。
朝の散歩のときにタンが絡んだような咳が出るし。
悪い病気でなければいいんだけど・・・」

・お散歩を嫌がったり、途中で座り込んだりする
・呼吸が速くなる ・朝や夜に咳が出る
・失神したことがある

お散歩のペースが遅くなった子を見て「うちの子も年をとってのんびりになったわね~」で済ましていませんか?
熟齢期(5歳~)を過ぎたワンちゃんの小さな変化を見落とさないでくださいね。

心臓病は、症状が出ていなくても聴診したときの心臓の音で分かることが多くあります。
ワクチンなどで来院したときには、少~し心臓の音を聞かせてください。おうちでもワンちゃんの胸に手を当ててみましょう。
正常な心臓は私たちと同じようにトクトクと聞こえます。心臓病の進んだワンちゃんでは、心臓の雑音がザーッザーッザーッっと手に擦れるように感じられます。


聴診器で「もしもし」してもらうと、 どうやらパトラちゃんも心臓に雑音があるようです。
「えっ、あたし心臓病!? 死んじゃうのっ??」

高齢犬の心臓病で一番多いのは、「弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)」という病気です。
心臓の中にある弁がキッチリ閉まらずに血液が逆流するため、ポンプをしている心臓に負担がかかります。
最初は症状が全くない場合もありますし、疲れやすかったり、ときどき咳が出る程度ですが、病気が進むと、咳が止まりにくくなって呼吸困難を繰り返したり、失神することもあります。
肺に水がたまり呼吸困難を起こすと、放っておくと酸素が足りなくなって死んでしまいます。
大型犬よりもシーズー、マルチーズ、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬や、キャバリアで多くみられます。


「病気だなんて思わなかった!」
パトラちゃんは心臓病の進み具合を調べるために検査を受けることになりました。
心臓のレントゲン・心電図・超音波検査に血液検査?
「こんなに いっぱい検査しなきゃ駄目~っ!?」

検査はたくさんありますが、症状や病気の進み具合によって、必要な検査は変わります。
初めて心臓の病気が分ったときは、治療開始の時点のワンちゃん状態を知るため、当院では『ハートドック(心臓検査のセット)』を受けていただくことをお勧めします。

~ 心臓の検査はこんな感じ ~

聴診:心臓の雑音の程度を確認します
レントゲン検査:心臓の大きさや形、気管との位置、肺の状態などを診ます
超音波検査:心臓の各部屋の大きさや壁の厚さ、弁の動き、逆流の程度などを診ます
心電図検査:不整脈や心臓の波形から心臓の異常を読み取ります
血液検査:心臓以外の病気が隠れていないか、合併症がないか、そして薬を分解し排泄する
腎臓や肝臓に異常がないかをみます

その後は、お薬を飲んでいる子もいない子も、必要な検査を定期検診として受けましょう
(症状により1ヶ月~半年に1回)。


パトラちゃんのレントゲン写真ができてきました。
「ほら、健康なワンちゃんの心臓に比べて、パトラちゃんの心臓は
こんなに大きくなっているんだよ 」


検査を終えたパトラちゃん、お薬をもらって帰ることになりました。
「先生、パトラの心臓 これ飲んだら治るの?」

実は、心臓病は投薬治療を行っても心臓そのものが治るわけではありません。

心臓のお薬には血管を広げるもの、利尿(体内の水分を減らすもの)、強心薬などがありますが、薬の効果
は、病気で鞭打って働いている心臓の負担を軽くして、病気が進むのを遅らせたり、症状を無くしたりすることです。
今は症状が無くても、心雑音があり心臓が大きくなっていれば、病気は徐々に進んで症状が出始めます。病気の進行を遅らせるためにお薬を始めましょう。

また、心臓病の症状がある場合と、ない場合では薬の種類や数が違います。
症状が無くなったからといって薬をやめると、それまで楽をしていた心臓にまた負担がかかり、いっそう症状が進むのでよくありません。


薬は毎日、一生のあいだ必要です。
「症状が進むと一度にたくさんのお薬が必要になるから、
早期発見で少ないお薬から進行を予防していくんだよ」

「へ~、じゃあパトラも頑張りまーす。 先生、他には何か気をつけることあるの?」


お薬がなくなる前に早めに取りにきましょう。


 塩分を控えましょう。
人の食品には塩分が多く含まれています。
チーズやチクワ、パン、ソーセージなども塩分の多い食べ物です。


お散歩は一緒に歩く早さで。
1日1回30分よりも、1日3回10分ずつのお散歩がgood。
お薬を飲むと動きが軽くなりますが、走らせるのは厳禁!



シャンプーは体調の良い日にしましょう。
過度のストレスは避けましょう。
美容室やホテルで預けるときは病気があることを伝え、お薬を忘れずに!


「パトラ、朝の食パンを我慢するのはちょっと辛いけど、お母さんと元気に長生きしたいし

お薬も検査も頑張ります!!」


獣医師 中野あや